お得な労務情報♪

通勤災害判例①~羽曳野労基署長事件~

      2024/10/04

社会保険労務士法人Aimパートナーズです! 

 

今週からさっそく、通勤災害の判例のご紹介です。

 

前回ブログで、「通勤」とは住居と就業場所の移動を、合理的な経路及び方法で行うことであるとお伝えしました。

 

しかし、逸脱(通勤の途中で就業とは関係のない目的で合理的な経路を逸れること)・中断(通勤の経路において通勤とは関係のない行為を行うこと)した場合であっても、

逸脱または中断が日常生活上に必要な行為であり、厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最少限度のものである場合には、逸脱または中断の間を除いた移動行為は「通勤」として認められます。

 

 

今回は「介護を理由とした立ち寄り」を含んだ通勤が争点となった判例です。

これが認められるか否か、皆さんはどちら予想でしょうか?!

 

 

それではいってみましょう!

___________________________________________________

 

【目次】

◆羽曳野労基署長事件 (大阪高裁平成19年4月18日判決)概要

◆判旨

◆まとめ

 

___________________________________________________

 

 

 

 

 

 

◆羽曳野労基署長事件 (大阪高裁平成19年4月18日判決)概要

 

大阪府内の建材店に勤務していたX(原告)は自宅から徒歩で通勤していた。

 

Xの自宅近くに住んでいる義父は,障害があり杖なしでの歩行が難しかったため,Xの妻が,ほぼ毎日義父宅に通って義父の介助をしていた。

 

また,Xも,週4日の頻度で勤務終了後に義父宅に立ち寄り,義父の介護をしていた。

ある日Xは,勤務終了後に義父宅に向かい,いつものように介助を行った後,自宅に戻るため義父宅を出た。

 

義父宅を出て約15分後,Xは,交差点で原付自転車と衝突し,頭蓋骨骨折の傷害を負った。

Xは,羽曳野労基署長(Y=被告)に対して,労災保険法に基づき,本件事故に関する休業補償給付を請求したが,不支給処分を受けたため,審査請求行った。

 

しかし,審査請求は棄却され,再審査請求も棄却されたため,本件不支給処分の取消しを求めて訴訟を提起した。

 

 

 

◆判旨

 

〇Xの移動は,業務の終了により事業場から自宅へ最終的に向かうために行われたものであり,労災保険法7条2項にいう「就業に関し」の要件を満たすものと認められる。

 

〇Xの義父宅での介護は,通常通勤の途中で行うささいな行為とは言えず,労災保険法7条3項のいう「逸脱」に当たるから,同条3項ただし書(~ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。)の要件を満たす必要がある。

 

〇Xの介護行為は,「労働者本人又はその家族の衣,食,保健,衛生など家庭生活を営むうえでの必要な行為」というべきであり,労災保険規則8条1号所定の「日用品の購入その他これに準ずる行為」に当たる。

 

〇「合理的な経路」とは,事業場と自宅との間を往復する場合に,一般に労働者が用いると認められる経路をいい,必ずしも最短距離の唯一の経路を指すものではない。合理的な経路が複数ある場合には,そのうちのどれを労働者が選択しようが自由である。徒歩通勤では,合理的な経路である限り,労働者が道路のいずれの側を通行するかは問わないと解するのが相当である。

 

〇本件交差点付近は、通常の通勤経路に復帰した後だったため合理的な経路と解するのが相当である。

 

よって本件災害に関する不支給決定は取消となる。

 

 

 

◆まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

「介護」という行為が「日用品の購入その他これに準ずる行為」にあたるのかどうかという点が判断に迷うところでしたが、結果認められましたね!

 

現在では「日用品の購入その他これに準ずる行為」について記載されている労災保険法施行規則第8条5号に「要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)」が追加されています。

 

「継続的に又は反復して行われるもの」とあるため、介護であっても単発だった場合などはまた判断に迷うところでしょう。

 

このように通勤災害は本当に、ケースが多岐にわたります。

 

社員に通勤災害を訴えられている、申請が認められず給付を受けられなかった、手続き方法がよくわからないといったお悩みをお持ちの方はまずはお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお問合せください!

 

お問合せはコチラ↓

https://aimgroup-sr.com/contact/

 

 

 

 - 未分類