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脳・心疾患による労災認定事例③~令和4年6月京都下労基署~

      2024/08/01

社会保険労務士法人Aimパートナーズです! 

 

二週にわたり、脳・心疾患による労災認定判例についてご紹介しています。

脳・心疾患による労災認定基準は以下の通り。

 

《脳・心疾患に関する労災認定基準》

〇長期間の過重業務

〇短期間の過重業務

〇異常な出来事

 

 

そして、ここに該当する具体的な「過重業務」とは、以下のように具体的評価されています。

 

〇発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合

〇上記の時間に至らなかった場合も、近い時間外労働を行った場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと認められる場合

 

労働時間が労災認定において重要視されるポイントの一つであることは、みなさんにも理解いただけているかと思いますが、今回はこの「労働時間以外の負荷要因」について。

今回は、「暑熱」を負荷要因として評価した事例をご紹介します。

 

それではいってみましょう!

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【目次】

◆事例概要

◆見解

◆まとめ

 

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◆事例概要

 

京都の自動車整備会社にて働く整備士が、平成27年7月に急性心不全により死亡。

 

遺族は業務による過重負荷が原因であるとして、28年1月に遺族補償年金と葬祭料を請求したが、京都下労基署は不支給処分。

 

審査請求・再審査請求も棄却となり、遺族は令和元年12月に訴訟を提起した。

 

同労基署は5カ月間、業務起因性を争う主張を展開していたものの、令和4年6月30日暑熱環境を負荷要因として評価し不支給処分を取り消した。

 

◆判旨

 

〇この事例の前年、脳・心臓疾患の労災認定基準は労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価することを明確化したものに改正。

 

〇この改正を踏まえ、同労基署は時間外労働時間数は業務と発症の関連性が強いとされる水準に至っていないものの、作業場の暑熱環境を負荷要因として評価、整備士の死亡を業務上の事由によるものと認めた。

 

〇具体的には環境としては以下の環境が暑熱として評価された。

・「車両の下回り洗浄場には空調設備がなく、50~60度の高温水スチームが噴射されるノズルを持って洗浄作業を行っていたこと」

・「とくに夏季においては、作業中はスチームが充満することにより、高温多湿な環境になったと推測されること」

 

〇整備士の発症前2~6カ月の月平均時間外労働は最大77時間21分と過労死ラインには至っていなかった。

 

◆まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

過重業務として、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価することが明確化されてから、あまり月日はたっていないものの、実際の判断事例として多様な負荷要因が認められつつあります。

 

建設業をはじめ、作業環境が過酷な業種は要注意ではないでしょうか。

 

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