セクハラ判例④~PwCあらた有限責任監査法人事件~
2024/04/30
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
毎週にわたってセクハラ判例をご紹介しています。
今回は「ストーカー被害」によるセクハラ被害だった判例です。
ストーカー行為に対しての懲戒処分の判断は「加害内容の悪質さ」「被害者が受けた苦痛との程度」「加害者の反省の程度」「証拠などにより被害が明確であること」「懲戒歴」「加害者の職務上の立場」など様々な観点から判断していくこととなります。
それではいってみましょう!
【目次】
◆PwCあらた有限責任監査法人事件(東京高判令3・7・14)概要
◆判旨
◆まとめ
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◆PwCあらた有限責任監査法人事件(東京高判令3・7・14)概要
Yと期間の定めのない雇用契約を締結して就労していたXは、平成30年5月、職場の女性に対するハラスメント等により諭旨免職処分を受けた。
しかし、Xは、退職に応じず、同年7月、降格決定を受け、平成31年2月に至り、職務遂行に必要な能力を欠く等として普通解雇。
Xは、訴訟を提起し、
①諭旨免職処分の無効確認
②降格決定の無効確認
③普通解雇は無効であるとして、雇用契約上の権利を有する地位の確認
④賃金および賞与の支払
等を請求した。
一審(東京地判令2・7・2)は、
①諭旨免職処分の無効確認請求を認容
②降格処分は有効
③普通解雇は無効
として雇用契約上の権利を有する地位の確認請求を認容し、④賃金の支払請求を一部認容した。そこで、当事者双方が控訴した。
◆判旨
〇ストーカー行為の態様は、平成29年9月頃から同年11月末までの約3か月間にかけて、職場で被害女性に視線を送ったり、被害女性の利用する座席のそばの座席を使用したり、被害女性が退社して駅に向かうとその後を付けたり、被害女性が退社して駅に来るのを待ち伏せ、ホームで被害女性を見失うと、被害女性が利用する乗換駅に行って被害女性を探したりしたというものであって、被害者が受けた精神的苦痛は看過できるものではない。
〇一審ではストーカー行為について客観的な証拠がなく、諭旨免職処分が無効とされた。控訴審では、被害者がストーカー被害を受けている様子を撮影した動画を警察署に相談を行っていたことをYらは主張。
〇Xは聴取の際に「女性はPTSDになったりしておらず、普通に出勤しているから問題ない。」と発言しており、反省したとは言い難い状況であったと認められる。
〇Yにおいてのプロフェッショナル職に就いていたXは、基本的な業務の遂行ができていなかったにもかかわらず、誰にでも簡単にできる補助業務を担当することはないと意思表示を示していた。
〇Xは諭旨免職処分を真摯に受け止めておらず、反省もしていない状況にあり、Yにおける基本業務に関しても否定的な姿勢をみせる等、XY間の信頼関係を破壊するものであった。これにより普通解雇(就業規則)の「やむを得ない事由があるとき」に該当し、有効と認めるのが相当である。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
セクハラ行為について、客観的な証拠がない場合は、被害者の証言によって立証することに
なりますがその難易度は決して低くありません。
会社として適切な判断を行うためにも、第三者のヒアリングを行い、正確な事実確認に努めることや、証言以外での証拠を集めたりすることは必須と言えるでしょう。
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