【判例から見る】マタハラとは?~広島市中央保健生協事件~
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
前回の記事にてマタニティハラスメント(マタハラ)とは、「妊娠や出産、育児を行う女性に対して、仕事上で不適切な言動をすること」とご紹介しました。
今回は実際にマタハラで裁判となった判例をご紹介します。
マタハラを訴えてきたトラブルとなった際、裁判ではどのような点が重視されるのか確認していきましょう!
【目次】
◆広島市中央保健生協事件(H26.10.23最高裁判例)概要
◆判旨
◆まとめ
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◆広島市中央保健生協事件(H26.10.23最高裁判例)概要
広島市中央保健生協(以下Y)にて副主任として勤務する女性Xが妊娠したため、Yは労基法65条3項による「軽易な業務」へ転換。副主任を免じ、さらに産前産後休業、育児休業終了後に復帰後も副主任に戻ることはなかった。
Xは、上記の対応が均等法9条3項に違反するものとして、管理職(副主任)手当(月額9500円)の支払いと債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求権を行使した。
第一審(平24・2・24広島地判)、控訴審(平24・7・10広島高判)はいずれも女性Xの請求を棄却した。
最終的に最高裁破棄差戻後の控訴審判決(平24・7・29広島高判)にて均等法9条3項違反であるとして、慰謝料100万円と副主任手当不支給額全額の全額の支払いを命じた。
(均等法9条3項)
事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和22 年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
◆判旨
〇均等法9条3項の規定について、これに反する事業主による措置を禁止する強行規定とし、妊娠,出産等を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは,同項に違反するものとして違法,無効である。
(※強行規定:当事者の意思にかかわりなく適用される規定)
〇しかし、次のいずれかの場合は例外的に同項違反にならない。
(同項違反とならない事由の主張・立証責任は使用者が負う)
① 労働者が,自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な
理由が客観的に存在するとき。
→Xの意向に反しており、自由な意思に基づく承諾があったとは認めることができない。
② 事業主において,降格の措置を執ることなく軽易業務へ転換させることに,円滑な業務
運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合、またその措置が趣旨・目的に実質的に反しないと認められる特段の事情が存在する場合。
→特段の事情の存在を認めることはできない
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
①労働者が妊娠したことを機に軽易な業務への転換を要求した場合は応じなければならない。
②しかしそれを理由として不利益な取り扱いをしてはいけない。
③有効であるためには、それが女性労働者の自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか、均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しない特段の事情が必要。
上記がマタハラの基本的な方向性になります。
自社であった対応がマタハラにあたっていないか心配、従業員が妊娠しどうすればいいかわからないと感じた方は、まずはお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお問合せください!
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