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【労働契約法】安全配慮義務とは?

      2023/03/24

 事業主の皆様は「安全配慮義務」についてどのくらい意識されていますか?

 

 安全配慮義務とは、労働契約法の第5条(労働者の安全への配慮 )に規定されている、使用者に課せられた従業員の安全・健康について合理的に配慮する義務のことです。

 

 つまり、労働者のけがや病気等の発生あるいはその危険を使用者が回避に努めることは法律で定められているということになります。

 

 労働契約法では、違反の際の具体的な罰則については規定されていませんが、違反が発覚した場合、会社側に損害賠償が請求されるなどの恐れがあります。

 

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どのように「安全配慮」すればよいのか?

                                         

 

 では、具体的には「どのように」、また「どこまで」配慮すればよいのでしょうか。

 基本的には以下の3つの施策を実行することが基本となります。

 

1.職場環境の管理の徹底

 

 職場環境の整備についてはその職種により管理するポイントは様々です。

 

 運送業のように、バイクや、トラックを業務で使用する場合には、業務上の災害や事故などが発生しないように常に車両等整備しておくことが必要です。

 

 また、工場などの製造業においては、整理・整頓・清掃・清潔・躾といった「5S活動」を実施してケガや事故を未然に防ぎ、綺麗に行き届いた安全な職場環境を保つことが必要です。機械の使用方法や作業の手順に決まったルールを設けることで、自動的に「5S活動」の達成を意識している会社も多いです。

 

2.従業員の労働実態の把握

 

 長時間労働を行わせることも安全配慮義務違反とみなされます。長時間労働は上限を超えると労働基準法違反となり、懲役や罰則といった刑事罰が科される場合もあります。

 

 安全配慮義務の視点からみると、「2~6カ月のいずれかの平均残業時間が80時間、または1カ月100時間の残業時間」、すなわち過労死ラインと言われている基準を超えると安全配慮義務違反となる可能性が高くなります。

 

 企業側は労働実態を把握することで、鬱病などメンタルヘルスに係わる疾病や、最悪の場合は過労死や過労自殺につながる従業員の健康を害する内容を予見できるとされているためです。この点からも、各従業員の労働実態は必ず把握していきましょう。

 

3.健康診断や産業医面談の実施

 

 従業員の健康状態を正確に把握するには、労働時間の管理だけでは達成できません。

 

 労働安全衛生法第66条にも定められていますが、必ず1年に1回、健康診断の実施が必要です。また、深夜業務や有害業務に携わる労働者には、配置転換時や半年に1回健康診断を受けさせるなど、さらに厳しい配慮が求められています。

 

 またストレスチェックの実施も必要です。こちらは、中小企業は努力義務となっていますが、労働者が自分のストレス状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、職場の状況を把握して、職場環境の改善につなげることができるため、実施することをお勧めします。

 

 労働実態を把握してやむを得ず長時間労働になっている従業員や、ストレスチェックの結果で高ストレス者に該当した従業員には産業医面談を実施し、従業員の健康支援やストレスチェック後のメンタルサポートをしましょう。

 

                                         

 

安全配慮義務違反となる判断基準は?

                                        

 労働に関する事故やトラブルが起きた際、全てが安全配慮義務違反になるわけではありません。違反になるかならないかのポイントとなる要素は、以下の3つが挙げられます。

 

予見可能性および結果回避性の有無

 企業が、従業員が心身の健康を害すると予測できた可能性があったかどうか(予見可能性)と、予見できた損害を回避できたかどうか(結果回避性)が判断のポイントです。予測および回避できたにも関わらず会社が予防対策を怠った場合は、安全配慮義務違反となる可能性があります。

 

因果関係の有無

 安全配慮義務を怠ったことが怪我や病気の原因であるかどうかという因果関係の有無も焦点になります。原因が企業にあるとみなされた場合は安全配慮義務違反と判断されます。ただし、従業員自身の生活習慣やプライベートの要因が複雑に絡み合っているため、原因の追究と証明はしっかり行わなければなりません。

 

労働者側の過失の有無

 従業員本人の過失の有無は、判断の大きなポイントです。従業員側の過失があった場合、労災と認められることはあっても安全配慮義務違反と判断される可能性は低いと考えられます。その場合、企業側の責任が軽減されて損害賠償額の減額につながります。

                                       

 

まとめ

                                        

 

 いかがでしたでしょうか?

 

 安全配慮義務は昭和50年2月25日最高裁小法廷判決が出された「陸上自衛隊事件」をきっかけにして考え方が確立し、労働契約法によって明文化されました。この事件は労働者が死亡するという大きな事故でしたが、最近では、パワーハラスメントや新型コロナウイルスでの判例が出てくるなど時代の流れとともに、判例の幅が広がってきています。

 

 今回の記事を見て、現在の職場環境管理に不安がある、労働時間をしっかりと管理できていないなどと感じた方は、社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

 

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