お得な労務情報♪

通年雇用助成金について【前編】

      2023/02/13

現在、新型コロナウイルスの影響で多く利用されるようになった「雇用調整助成金」や、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための「キャリアアップ助成金」など、厚生労働省では様々な助成金制度を設けていますが、北海道の建設業においてかかせないのが「通年雇用助成金」です。

今回は「通年雇用助成金」を2回に分けて解説していきます。前編では通年雇用助成金の「概要」や「助成対象」について、後編では実際の「支給額」や「申請方法」について詳しくご紹介していきます。

ますは、実際にどのようにしたら助成を受けられるのか、対象の条件に現在あてはまっているかどうか、確認していきましょう。

 

◎概要

北海道や東北地方では積雪寒冷地であるため、冬期間に離職を余議なくされる労働者も多くいます。通年雇用助成金は、このような気象条件の厳しい積雪、寒冷地において、季節的な失業の発生を防止するとともに、季節的業務に従事する労働者の通年雇用化を促進することを目的としています。

この助成金は、積雪寒冷地で、建設業や水産食料品製造業などの季節の影響を強く受ける事業を行っている事業主が、シーズン・オフも季節労働者を通年雇用し常用労働者数を増加させた場合に、雇用した季節労働者の数とその賃金の額に応じて事業主に支給されます。

 

◎対象となる事業主

ます、この助成金の対象となるのは、「指定地域」で、「指定業種」に属する事業を行う雇用保険適用事業主の方です。

「指定地域」

全市町村指定 = 北海道、青森、岩手、秋田

一部の市町村指定 = 宮城、山形、福島、新潟、富山、石川、福井、長野、岐阜

「指定業種」

①建設業

②林業

③採石業および砂・砂利または玉石の採取業

④水産食料品製造業

⑤野菜缶詰・果実缶 詰または農産保存食料品の製造業

⑥一般製材業

⑦セメント製品製造業

⑧特定貨物自動車運送業

⑨建設 用粘土製品(陶磁器製のものを除く)の製造業

⑩建設現場において据付作業を行う「造作材製造業(建具を 除く)」「建具製造業」「鉄骨製造業」「建設用金属製品製造業(鉄骨を除く)」「金属製サッシ・ドア製造 業」「鉄骨系プレハブ住宅製造業」「建築用金属製品製造業(サッシ、ドア、建築用金物を除く)」「畳製造業」 ⑪農業(畜産農業および畜産サービス業を除く)

 

◎助成条件

助成条件は季節労働者(季節の影響により操業度の変動が著しい産業に就労する労働者)をオフシーズンである対象期間(12月16日から翌年の3月15日)中、以下の形態で継続雇用し、かつ対象期間の翌年度の12月15日まで継続して雇用することが見込まれることです。これにより、労働者の賃金・移動就労経費の助成等が受けられます。

 

◎対象となる季節労働者

季節労働者の中でも以下の条件を満たした方でないと助成対象とされません。

(1)対象期間(12月16日~3月15日)の属する年度の9月16日以前から雇用され、当該年度 の1月31日において雇用保険の特例一時金の受給資格(※)を得て、支給を受けることが見込まれる人。

(※)離職の日以前1年間に、11日以上働いた月(または80時間以上働いた月)が通算して6か月以上あること。 等

→つまり、もし雇用保険の加入履歴が無い方であれば、最低でも8月上旬までには雇入れる必要があります。

(2)③の業務転換の場合は、次のAまたはBに該当する人が対象となります。

A 当該年度の対象期間中に業務転換を開始する場合は、上記(1)と同様です。

B 対象期間以外に(12月15日以前に)業務転換を開始する場合は、 業務転換開始日に支給対象事業所に3カ月以上継続雇用されていて、 当該年度の3月31日までに雇用保険の特例一時金の受給資格を得て、支給を受けることが見込まれる人です。

 

  • また、次の①から③までのいずれかに該当する人は対象から除かれます。

①管理監督的業務に従事する人、または事務など季節の影響を直接受けない業務に従事する人

②遠隔地への出稼ぎ労働者

③本助成金の申請事業所において、雇用調整助成金の支給を受けている事業主

 

 

◎基礎数について

今まで提示してきた条件を満たしてきたとしても、実は、申請の対象となる労働者のすべてについて、助成金を受けられるとは限りません。

一つの事業所から申請できる労働者の人数は決まっています。申請する人数の上限を考える際、この「基礎数」という考え方を使います。

ただし「基礎数」についてはご自身で算出されるのは少し煩雑かと思います。管轄のハローワークに「雇用保険事業所番号」を伝えると事業所の基礎数を教えてくれますので、問い合わせてみるのが良いでしょう。

 

何のため算出の仕方についてもご紹介しておきます。

以下の算定式に基づいて助成される人数を選出してください。

 

【算定式】

支給対象となる労働者の数 =申請時の対象労働者の数-(基礎数(※)-当該年度の3月15日現在の継続雇用労働者の数)

基礎数(※)とは、

① 昭和59年以降、初めて支給を受けようとする場合、または過去に助成金の支給を受けたことがあるが、

直前3年間以上にわたって助成金の支給を受けたことがない場合は、当該年度の12月15日現在における継続雇用労働者の数。

② ①以外の場合は、前年までに支給が確定した労働者数により、一定の式で算出されます。

 

申請の対象となる労働者のうち、

① 支給額の高い者

② 申請回数の少ない者

の順に、算定式により求められた人数に達するまで選択した労働者が、助成金の支給対象となる労働者となります。

 

いかがでしたでしょうか?

もし社会保険に関すること、被扶養者の要件、手続きの方法、傷病手当金、出産手当金及び障害年金等でお困りの方は社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

 

 

 - 助成金 , , , , , , ,