【判例で見る】雇止めとは?②
2023/04/19
前回の記事にて、有期契約労働者の契約期間のルールをご紹介しました。
前回の記事をご覧いただけていない方は以下のURLからご覧いただけます。
「雇止め法理」について少しおさらいすると、
客観的に合理的な理由
・臨時性のある職務で有期労働契約を締結したこと
・通常の解雇同様の合理的な理由があること
を持たない以下の条件を持つ労働者
・無期労働契約と同視できると判断できる労働者
・更新されるものと期待する合理的な理由を持っている労働者
については契約期間が満了したからといって使用者側から一方的に契約を終了した場合、雇止め無効となる可能性があります。
今回は実際の判例をご紹介するので、ご自身の会社が有期契約労働者について同じような運用をしていないかチェックして頂ければと思います。
判例① 東芝柳町工場事件(S49.07.22最一小判)
Xらは、Y社A工場で契約期間を2か月とする臨時従業員として雇用されました。
5回ないし23回にわたり契約が反復更新された後、Y社から、契約期間満了をもって更新はしない旨の意思表示を受け、これに対しXらが、雇止めの無効を主張し提訴しました。
⇒ 期間は2か月と定められてはいましたが、この労働契約は期間の満了毎に当然更新を重ねて ものといえるため請求が認めらました
判例② 日立メディコ事件(S61.12.04最一小判)
Y社の柏工場において2か月の労働契約を5回にわたって更新してきた臨時員Xは、契約の更新を拒絶されたため、この労働契約は期間の定めのないものに転化したと主張し提訴しました。
⇒ 臨時的作業のために雇用されたものではなく5回にわたり契約が更新されていることから、雇用関係はある程度の継続が期待されるとされましたが、事業上やむを得ない理由により人員削減をする必要があったことは認められたため、雇止めの効力は有効とされXの請求を棄却した。
判例③ 龍神タクシー事件(大阪高判平成3.1.16労判)
Xは、タクシー会社であるY社に臨時運転手として雇用されたが、締結した契約期間が満了する前日に、Xに対し、解雇予告手当を支払うことにより、同日をもって解雇する旨の意思表示がなされた。Xは従業員としての地位保全等の仮処分を申請。
⇒ Y社での臨時雇用運転手の雇用期間については、雇用契約上は1年間の期間が定められているものの制度の導入以降、自己都合による退職者を除いてはY社において契約の更新を拒絶した事例はないため、契約期間満了後もY社が雇用を継続するものと期待することに合理性を是認することができるため地位あるべきということができる。
雇止め判例のポイント
以上3つの判例の内容を大まかにご紹介しましたが、まとめると雇止めの判例では以下のポイントがよく見られています。
・過去例外なく更新されていたか
・期間満了の都度直ちに新契約の手続きをとっていたか
・臨時性のある地位として雇われていたか(業務の恒常性・正社員との同一性)
・正社員等への期待させる言動があったか
・複数回、反復更新していたか
つまり、これらのポイントを押さえておけば会社としては雇止め法理が適用となる可能性の低い有期契約労働者の雇用が出来ていることになります。
具体的には前回ご紹介した以下の対策を意識してください。
・雇用期間の管理を徹底する
・業務内容の限定を検討する
・契約更新回数の上限を定めておく
・安易な言動を行わない
前回の記事はコチラ↓
まとめ
いかがでしたでしょうか?
もし、今回の記事を読んで、現在の有期雇用の社員の状況について問題がないか相談したい、契約更新を考えているがあらためて手順等確認したいなど、有期契約労働者についてのご不安がございましたら、社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。
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