健康保険証廃止 2024年秋 政府
政府はマイナンバーカードと健康保険証の一体化に向け、健康保険証を令和6年(2024)の秋で廃止する方針を決めました。河野太郎デジタル大臣が令和4年10月13日の記者会見で意向を明らかにしています。
政府が8~9月に実施した調査によると、マイナンバーカードの取得率は64.3%で、1~2月の前回調査に比べ5.4ポイント増加し、そのうち健康保険証としての利用申込みをした割合は43.6%とのことです。
カードの取得率は業種によって差がみられ、最も高いのは国家公務員の84.2%、最も低いのは自動車整備業の53.2%。取得促進の取組みを実施している企業・団体の割合は16.7%に留まったということです。
2024年秋に今の保険証を廃止するとしていますので、それまでに、すべての人がマイナンバーカードを取得し、保険証として利用できるよう登録する必要がありますね。
独り暮らしの高齢者など取得の申請を行うのが難しい人や、どうしても取得したくないという人などへの対応も検討する必要があるかと思います。
そして多くの課題があります。厚生労働省は医療機関などに対し、原則として、来年度からマイナンバーカードを保険証として利用できるシステムの導入を義務づけました。10月2日時点で、システムの運用を始めている医療機関や薬局は33.5%にとどまっています。厚生労働省は、導入にかかる費用への補助額を増やすなどして整備を促していく方針をとっています。
ただし、医療保険の対象なのに、現在はマイナンバーカード保険証が対応していない診療や施術があります。訪問医療や訪問看護、接骨院などの柔道整復師、鍼灸(しんきゅう)などで診療や施術を受ける場合になります。
政府はこれらの未対応分野についてもマイナンバーカード保険証を早期に導入する方向性を示しており、補助金制度などで設備導入を促す支援策を2023年秋中にも総合経済対策の中で打ち出す考えのようです。
また、マイナンバーカードを持ち歩くことによる紛失リスクの増大も懸念されています。マイナンバーカードのICチップは5年、カードは10年毎に更新が必要であるため、手続きのために役所へ行く必要があるなど患者・国民の手間が増えること。紛失による再発行や更新手続きが遅れICチップやカードの期限が切れた際、手続き完了までの間は保険資格確認ができず、受診が必要となれば全額自己負担となる可能性などです。
様々な課題はありますが、メリットもあります。今までの特定健診情報や薬剤情報データを医師と共有できるようになりますので、はじめての医療機関でも、本人の同意があれば、今までの特定検診情報や薬剤情報などのデータを医師と共有できるようになります。口頭で説明する必要がなく、正確な情報が伝わるため、適切な医療を受けられます。
※特定健診情報
40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目して行われる健診
結果の情報。令和2年度以降に実施したものから5年分の情報が参照可能
※薬剤情報
医療機関を受診し、薬局等で受け取った薬の情報。注射・点滴や入金中等の情報も含みます。
更に、マイナポータルで自身の特定健診情報や薬剤情報も確認可能となります。マイナポータルの薬剤情報は、電子版のお薬手帳にも連携が可能です。自身の体にかかわる情報をいつでも確認できることで、健康や医療への意識が高まることが期待されます。
2021年9月以降に受診した医療保険の情報から、マイナポータルとe-Taxの連携で、確定申告の医療費控除が自動入力をすることができますので、確定申告も簡単になります。
健康保険証を廃止するまで、様々な課題をクリアする必要がありますが、マイナンバーカードの利便性が更に向上することを切に願います。
今回の健康保険証の廃止の件、又は社会保険の新規設置などの労務手続きでお困りの経営者、人事・労務担当者の皆様、是非札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご相談ください。
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