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出産一時金 50万円程度に増額へ

      2023/02/13

出産育児一時金について、政府は現在の42万円から50万円程度に増額する方向で最終調整に入りました。

1994年に「分娩費」と「育児手当金」を統合し、出産前後の諸費用の家計負担が軽減されるようにと創設された「出産育児一時金」。創設当時は30万円に設定され、2006年に35万円、2009年1月に38万円、2009年10月に現在の42万円へと出産費用の上昇に合わせて引き上げが実施されました。今回の50万円への引き上げ幅は過去最大となる見通しです。

子育て支援を強化するのが目的で、2023年度からの実施を目指しています。

 

  • ○出産育児一時金とは

 出産は帝王切開などの異常分娩を除き、原則として日本の公的医療保険は適用されず、費用は自己負担となっています。出産育児一時金とは、そんな妊産婦側の経済的な負担を軽減するため、出産時に42万円が支給されるものです。

 しかし、出産費用は年々上昇し続けており、2021年度の全国平均は約46万3千円。2020年度と比べ5819円増加したそうです。都市部を中心に出産費用が一時金を大きく上回り、岸田文雄首相が来年度から一時金を大幅に増額する方針を明らかにしていました。

 

  • ○増額の財源はどこから?

 一時金は加入する健康保険組合や国民健康保険から支給され、原則保険料で賄っています。よって今回の増額分についても、これまで一時金を支払ってきた健康保険組合などの保険者が負担することになりますが、24年度以降は、子育てをすべての世代で支えてもらうため、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度からも財源の7%程度を拠出してもらう方向です。

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  • ○支給方法

では実際の出産育児一時金の支給方法についてみていきましょう。

出産育児一時金の支給は、大きく「直接支払制度」と「受取代理制度」の2種類があります。 分娩する医療機関等によって導入されている制度が異なりますので、申請の際はご確認ください。

 

「直接支払制度」

健保組合が直接、出産された医療機関に対して出産育児一時金を支払う制度です。これにより、医療機関等の窓口で支払う出産費用は出産育児一時金を上回った額のみとなり、あらかじめ多額の出産費用を用意しなくて済みます。

例1)出産費用が50万円のとき                                

出産育児一時金42万円(現在)-出産費用50万円=不足分8万円

→不足分を医療機関の窓口で支払う必要があります。

例2)出産費用が40万円のとき                                

出産育児一時金42万円(現在)-出産費用40万円=差額2万円

→申請後、健差額2万円を請求可能。

※協会けんぽの場合「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書」を提出

 

「受取代理制度」

受取代理制度は、直接支払制度を利用しない小規模な分娩機関等を対象とした制度です。

導入する旨を厚生労働省に届け出た分娩機関等が対象となります。

出産育児一時金額を超える部分のみ支払えばよいという点では直接支払制度と同じですが、直接支払制度が出産育児一時金の請求手続も分娩機関が代行してくれるのに対し、受取代理制度では原則、被保険者側が請求手続きをとる必要があります。

・申請方法

直接支払制度が出産後の申請であるのに対し、受取代理制度は出産前の事前申請となります。出産予定日まで2ヶ月以内となった後に、協会けんぽの場合 「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)」を提出します。

・差額支払

出産費用が出産育児一時金の範囲内で収まった場合、その差額については直接支払制度では本人が別途請求する必要がありますが、受取代理制度では本人手続き不要です。

 

  • ○まとめ

今回の引き上げについて、子育て世代は、「42万円で足りないと感じていたので、8万円増えることで助けになる」といった肯定的な意見もある一方、「50万円になるのはありがたいが、病院側も値上げをしてきて、いたちごっこになる」「大学までの学費無料にするとか、おむつとかミルクを支給してくれるとかのほうがありがたい」「どうせなら全額無料にしてほしい」など今回の決定を疑問視する声もあります。

個人的には今回の件については「50万円もらえる」となれば、その金額の分まで病院側もサービスを増やして提供してくると思うので、また出産費用があがり、時間が経てばさらに上げる必要性がでてくるのではないかと感じました。また大学進学などでもっと大きなお金が必要になる高等教育への支援が求められているのも、今の時代ならではの考えであり、少子化対策として今後支援が必要になってくる部分だと思います。

 

いかがでしたでしょうか?

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