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政府が導入を普及促進する「特別な休暇制度」

      2023/02/13

 

 年次有給休暇をはじめとし、生理休暇や育児休業等、労働関係法令で定められた、企業が従業員に与えることが義務とされている法定休暇の他に、企業が福利厚生の一部等として設ける休暇があります。法令では定められていない法定外休暇であり、「特別休暇」と呼ばれることも多くあります。

 代表的なものとして、夏季休暇や病気休暇が挙げられますが、裁判員休暇やボランティア休暇を創設し、運用する企業も増えています。実際に厚生労働省は「働き方・休み方改善ポータルサイト」を運用し、特別な休暇制度の普及促進を行っています。

 

■参考リンク

厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」
https://work-holiday.mhlw.go.jp/

 

○特別休暇制度の状況

 特別休暇制度の実際の運用状況はどうなっているのでしょうか。

 厚生労働省は「令和4年就労条件総合調査」において、特別休暇制度の状況を取りまとめて公表しています。今回の調査ではこの特別休暇制度がある企業割合は58.9%で、これを特別休暇制度の種類別に見てみると以下のようになりました。

 

夏季休暇 41.5%

病気休暇 22.7%

リフレッシュ休暇 11.8%

ボランティア休暇 4.2%

教育訓練休暇 4.0%

上記以外の1週間以上の長期の休暇 15.1%

 

 この特別休暇制度を企業規模別に見てみると、夏季休暇と病気休暇、教育訓練休暇は企業規模による差はそれほどない一方、リフレッシュ休暇とボランティア休暇は企業規模が大きくなるほどその割合が高くなっています。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和4年就労条件総合調査 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/index.html

 

○特別休暇制度を導入するメリット・デメリット

 実際に導入を考えている企業はこの制度を導入するメリット・デメリットについて理解しておく必要があるでしょう。

 

【メリット】   

・従業員のモチベーションアップにつながる             

・業務の生産性向上の効果が期待できる      

・従業員の離職防止や定着率の向上に貢献する          

・企業PRや人材確保につながる

 

 単純に休暇が増えれば、従業員から喜ばれて業務に対してのモチベーションアップにつながります。従業員のやる気が高まれば、生産性の向上が期待できるでしょう。また、従業員の気晴らしやストレス解消をする機会を設けることで、定着率の改善を期待できます。ワーク・ライフバランスの向上を目指す企業にとっては、導入する価値は高いでしょう。

 また、休暇の目的が勉強や自分を成長させるためであれば、従業員のスキルアップも期待できます。さらに、休暇をとる従業員の業務を誰かが引き継ぐことになり、他従業員の業務の幅を広げるチャンスにもなるのです。そして、特別休暇が豊富にあると、健全な労働環境のアピールになります。すると企業のイメージアップが期待でき、優秀な人材が集まりやすいです。          

 

【デメリット】

・従業員数が少ないと人手不足になりやすい

・一人当たりの業務負荷が増えやすい

・内容によって従業員に不平不満が募りやすい

・有給休暇の取得率が低い企業だと利用されにくい

 

 従業員が休暇をとるということは、従業員数が少ない企業では人手不足になることもあります。それに加えて、休暇をとる従業員の業務が他の従業員に割り振られるため、一人当たりの業務負荷の増加となる可能性もあります。しかし、基本的に特別休暇は、全ての従業員が平等に取得できることが多いため、全くないとはいえませんが不平不満が募る可能性は少ないです。

 また、有給休暇の取得率が低い企業では、特別休暇を導入してもあまり利用されないという事態に陥ることもあります。制度を形骸化しないために、まずは有給休暇の取得率を向上させた上で特別休暇を浸透させることが重要になります。

 

 

○まとめ

 就職活動における企業選び の条件として、労働時間や休日を重視する傾向が強まっているため、多くの企業がこの特別休暇制度の導入を検討されていると思います。また、ここ数年では、新型コロナウイルス感染症が拡大したことで、従業員が陽性になったり、濃厚接触者になったりした場合の取扱いについて、病気休暇の一部としての導入を悩まれた企業も多いのではないでしょうか。

 前半でもご紹介した厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」では多くの企業の特別休暇の導入事例についても紹介しています。他の企業が福利厚生の為、どのような取り組みをしているのか、ご興味がある方は是非ご覧ください。

 

 いかがでしたでしょうか?

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