中小企業は賞与の金額をどう決めるべき?
2023/05/18
皆様の会社では賞与をどのような基準で支給していますか?
厚生労働省の定義では賞与とは「定期又は臨時に労働者の勤務成績、経営状態等に応じて支給され、その額があらかじめ確定されていないもの」とされています。
給与と違い、賞与の規定がない場合には原則支払う義務がなく、額もあらかじめ確定されていないからこそ、賞与の額は経営状態に影響されやすい性質をもっています。
つまり、会社にとって「ボーナスを出す」ことは簡単ではありません。
だからこそ、真面目に仕事に取り組んできた社員や貢献度の高い社員には、適切なボーナスを支給し、社員に納得感を与え、業績にも好影響を与えることのできる賃金制度でありたいですよね。
今回は、賞与の算出方法や人事評価の仕方、気になる業種ごとの賞与の平均額についてご紹介していきます。
〇賞与支給総額の算出方法
従来は単純に基本給に対して一律〇ヵ月を乗じて支給額を決める「給与連動型」が一般的でした。
「給与連動型」では、基本給比例方式で計算できるため、予算の見通しや賞与計算がしやすく、従業員にとってもわかりやすいのが特徴です。
しかし、現在では企業の業績に応じて賞与総額(賞与原資)を決定する「業績連動型」が主流となりつつあります。
背景としては、冒頭でも少しお話した、企業のために必死に努力してくれた社員には適切な評価をし、同時に会社へのエンゲージメントを高めることが狙いです。
「業績連動型」を選択した場合、賞与総額(賞与原資)が決まったら、人事評価などをもとに配分を行い、最終的に個別賞与額を決定します。
〇「業績連動型」 配分方法
「業績連動型」を選択した場合、賞与総額(賞与原資)が決まったら、次は山分けです。
配分方法として、全従業員一律給与〇ヵ月分(〇は賞与総額によって変動)としている会社も多いですが、自分が業績アップに貢献していても、全社的な業績が低迷してしまうと、それに伴って個人の賞与が減少してしまうのはデメリットといえるでしょう。
そこで、人事評価などをもとに配分を行い、個別賞与額を決める方法が増加傾向にあります。
在籍年数が長いこと従業員や年齢が高い従業員は自然と固定給が高く、簡単に下げることも難しいです。そこで、売上を上げて業績に貢献したり、業務内容に関連している資格を取得したりするなどの自己研鑽をすることを対象としている人事評価で、賞与にインセンティブの要素を持たせ、若手社員のモチベーションアップ、雇用定着につなげることができます。
〇人事評価の方法
使用者の個人的な裁量や印象で賞与額を決めてしまうことは危険です。
いざというときに従業員に評価方法の説明がしっかりとできないと、使用者と労働者の信頼関係にいい影響はありません。
また、賞与額が共有されてしまった場合、使用者との関係だけでなく、従業員同士でのトラブルにもつながりかねないでしょう。
では具体的にどのように正しく評価していけばよいのでしょうか。
厚生労働省では以下のサイトにて職業能力評価基準の職業能力評価シートを公表しています。
(厚生労働省/職業能力評価基準)
様々な業種にあわせた職業能力評価シートがあるため、運用しやすいモデルが見つかるのではないでしょうか。
また、これらをベースとして、皆様の会社の業態に合わせたものに適宜アレンジすることも可能です。
〇中小企業のボーナスの平均額とは
ここで、中小企業のボーナスの平均額はどの程度なのか、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」をもとに、一般的な水準を紹介します。
まず、事業所規模5~29人の企業については、2019年年末実績で全業種平均が27万3,076円でした。電気・ガス・熱供給等といったインフラ系企業は約64万円と最も高く、金融業・保険業は約49万円と続き、平均の2倍ほどになっています。
一方、医療・福祉(約20万円)や生活関連サービス業等(約16万円)、そして飲食サービス業等(約4万円)が平均を下回っているという結果でした。
次に、従業員規模30~99人の企業について、同じく2019年年末実績を見ると、全業種平均が35万683円とやや高めです。業種別のうち最も高かったのは電気・ガス・熱供給等で約69万円となっており、金融業・保険業が約62万円と続きます。
一方、医療・福祉(約29万円)やその他サービス業等(約29万円)、そして飲食サービス業等(約5万円)が平均を下回っており、事業所規模5~29人の傾向と同様の結果でした。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001011128&cycle=7&year=20190
〇まとめ
いかがでしたでしょうか?
「賞与」は支給の有無や賞与総額の理由など、企業としての分析結果や今後の経営戦略など、しっかりと説明することで、社員一丸となって目標に向かって頑張っていくためのエンゲージメント向上につながるきっかけにも使うことができます。
しかし賞与を支払う事で給与計算の事務負担や社会保険の手続きも発生します。もし、これらのアウトソーシングをお考えの会社や現在の賃金制度にお困りの会社は社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。
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