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【労働保険】年度更新とは?

      2023/06/09

 

 多くの事業所さんでは、5月の半ば頃、労働局から緑色の封筒が届いたと思います。

 

 「至急開封してください」などと記載があり、初めて見た方は驚くのではないでしょうか。

 

 これは労働保険料を申告・納付するためのいわゆる「年度更新」と呼ばれる手続きをするための、年に1回届く書類です。

 

 届いたけれど、どうしたらよいかわからない、どういった手続きなのかわかっていないという方のために今回は細かく解説していきます。

 

 【注意!】青色の封筒も届いた方は、今回の記事のみの手続き対応では不十分ですのでご注意ください。

                                                            

 

労働保険とは?

                                                            

 

 そもそも、労働保険とは、労働者災害補償保険(以後、労災保険と略します)と雇用保険のことを言います。

 

 労働者を1人でも雇う場合には、会社は労働保険に加入しなければなりません。

 

 労災保険は通勤中や勤務中に起因するケガや病気、死亡などに対して保険給付を行うもので、労働者を1人以上雇う場合に対象となります。

 

 雇用保険は労働者が失業した際などに給付を行うもので、一定の条件(労働時間が週20時間以上など)を満たす労働者がいる場合に対象となります。

 

                                                            

 

労働保険の保険料率

                                                            

 

 労災保険料は、全額事業主が負担します。

 

 労災保険の保険料率は事業の種類により1,000分の2.5から1,000分の88に分かれており、危険度の高い業種ほど高くなっています。

 

【令和5年度の労災保険料率】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/rousaihokenritu_h30.pdf

 

 雇用保険料は事業主と労働者(被保険者)の両方が負担する形になっており、事業の種類によって保険料率とそれぞれの負担割合が定められています。

 

【令和5年度の雇用保険料率】

https://www.mhlw.go.jp/content/001050206.pdf

 

 また今回年度更新する令和4年度は例年と異なり、年度の途中から保険料率が変更になっているので注意が必要です。

 

【令和4年度の雇用保険料率】

https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf

 

 また労災保険、雇用保険の他に年度更新の際には、保険料と合わせて一般拠出金も納付する必要があります。

 

一般拠出金は石綿(アスベスト)で健康被害を受けた人を救済する費用に充てるために全事業主が負担するもので、一般拠出金率は1,000分の0.02となっています

 

                                                            

 

年度更新とは?

                                                            

 

 労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までを1年間とし、1年ごとに計算します。

 

 年度更新とは、前年度に収めた労働保険の保険料を確定保険料として申告し、新年度の概算保険料の申告・納付とともに精算する手続きのことを言います。

 

 労働保険料は賃金総額によって変わりますので、年度末にならないと確定しません。納付する保険料はあくまでも概算の金額ですので、年度末に保険料が確定した後、精算する手続きが必要です。

 

 労働保険の年度更新は、毎年6月1日から7月10日までの間に行います。

 

 期限までに年度更新の手続きを行わなかった場合、政府が保険料・拠出金の額を決定し、確定保険料に対し10%の追徴金も合わせて事業主に請求します。(概算保険料に対する追徴金はありません。)

 

                                                            

 

労働保険の年度更新手続きの流れ

                                                            

 

 どのような流れで手続きを行っていくのか、期限に遅れないように手続きを完了できるよう、大まかな流れを知っておきましょう。

 

 〇申告関係書類が届く

 

 年度更新に必要な書類は、毎年5月中旬以降、管轄の都道府県労働局から事業所宛に届きます。送られてくるのは、次のような書類です。

 

・申告書

・賃金集計表

・申告書の書き方のパンフレット

・保険料率表

 

 〇賃金集計表の作成

 

 賃金集計表は、保険料計算の基礎となる賃金総額を集計するために使います。申告書の基礎となるものですが、提出する必要はありません。

 

 賃金集計表を作成する際には、厚生労働省から提供されている「年度更新申告書計算支援ツール」を活用すると便利です。Excelフォーマットに入力していくだけで自動計算され、申告書記入イメージも見ることができます。

 

 主要様式ダウンロードコーナー (労働保険適用・徴収関係主要様式)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouhoken.html

 

 〇申告書の記入

 

 賃金集計表をもとに申告書に労災保険、雇用保険それぞれの対象賃金等を記入します。

 

 申告書の上段に前年度の算定基礎額と確定保険料を、下段には今年度の見込額と概算保険料を記入し、「期別納付額」欄で結果を集計し今期の労働保険料納付額を算出します。

 

 ※賃金には、給与、手当、賞与など名称にかかわらず、労働に対して支払われるすべてのものが含まれます。賃金に含まれないものは、傷病手当金、出張旅費や宿泊費など。

 

 〇申告書の提出・保険料の納付

 

 申告書を提出し、保険料を納付します。

 

 保険料は一括納付が原則ですが、概算保険料が40万円以上の場合には3回の延納(分割納付)が可能です。

 

 申告書の提出や保険料の納付ができるのは、以下のようなところです。

 

 ・金融機関

 銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関で、申告書の提出と保険料の納付をまとめて行うことができます。金融機関で保険料の納付だけを行うことはできますが、申告書の提出だけを行うことはできません。

 

 ・都道府県労働局または労働基準監督署

 所轄の労働局または労働基準監督署の窓口で、申告書の提出・納付ができます。申告書だけ提出し、納付は金融機関で行ってもかまいません。口座振替を利用する場合には、申告書は労働局または労働基準監督署に提出が必要です。

 

 ・社会保険・労働保険徴収事務センター

 申告書の提出はできますが、保険料の納付はできません。

 

                                                            

 

まとめ

                                                            

 

 いかがでしたでしょうか?

 

 毎月従業員から天引きしている雇用保険、納めるタイミングは社会保険とは違い、年に1回です。

 

 年に1回だからこそ集計する賃金額も大きく、従業員が多い会社であればあるほどかなり事務作業に時間を使ってしまうかと思います。

 

 もし、手続きする時間がない、記事を読んでもやはり不安など年度更新についてお困りの方は、社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

 

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