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年休取得義務違反による書類送検事例

      2023/11/15

 

 とある最近のニュースをご紹介します。

 

                                                            

 

【令和5年5月10日送検】茨城・龍ヶ崎労働基準監督署

                                                            

 

 茨城・龍ヶ崎労働基準監督署は、年次有給休暇取得の時季指定を怠ったとして、飲食業のとある会社(飲食業)と同社代表取締役を、労働基準法第39条(年次有給休暇)違反の疑いで水戸地検土浦支部に書類送検しました。

 

 同社は県内で複数のコーヒーショップを運営しており、平成31年4月1日~令和4年3月31日の期間中に、パートタイム労働者を含む60人以上の労働者が在籍、そのうち年休の日数が年10日以上の労働者全員について、年休の時季指定を怠り、年5日間を取得させていませんでした。

 

 さらに、同労基署はパートタイムの労働者2人が退職前の2カ月間に申請・取得した年休について、賃金の一部を支払わなかった疑いでも立件しました。2人が4年10月にそれぞれ申請した22日分について不払いがあったほか、1人に対しては、9月に申請した1日分の賃金を支払わなかった。不払いの総額は23万9400円。この期間については、年休自体は取得させており、同法第39条の違反にはならないとしました。

 

 違反は労働者からの申告が端緒となって発覚し、令和4年12月に同社に対して是正勧告を行ったものの、改善の意思がみられなかったため、送検に踏み切ったとのことです。

 

 同労基署によると、同社は経営不振を違反の理由に挙げているとのことで、年休の申請があった際も、ほとんどの場合は取得を認めず、欠勤扱いとしており、年休の取得状況は年間で1~2人の労働者が1日取得する程度だったとされています。

 

                                                            

 

今回の事例について

                                                            

 

 労働者のワークライフバランスの実現を目的とする「働き方改革」の一環として、年次有給休暇の取得を促すため、平成31年4月から「年次有給休暇の時季指定による付与」が義務化されました。

 

 現在すべての企業において、年10日以上の年休が付与される労働者に対して、年休の日数のうち年5日について、時季を指定して取得させることが義務付けられているのです。

 

 龍ヶ崎労働基準監督署が年休の時季指定に関する違反で送検したのは初めてですが、法改正から4年ほど経ったいま、今後も間違いなく事例は増えてくるでしょう。

 

 労働者にも「年休5日取得義務」はかなり普及してきているため、今回ご紹介した事例のように、労働者に指摘、申告され送検となってしまうケースも大いに考えられます。

 

 使用者の皆様は今回の送検事例を重く受け止め、今一度「年休5日取得義務」が施行された背景や日本の現状を理解していきましょう。

 

                                                            

 

有給休暇の取得が義務化された背景

                                                            

 

 有給休暇の取得が義務化された背景には、日本企業における有給休暇の取得率の低さが挙げられます。

 

 厚生労働省は有給休暇の取得率の目標を70%に設定していますが、2020年に行われた厚生労働省の調査によると、1,000人以上の企業では平均取得率が63.1%、30人から99人の企業では51.1%でした。

 

(参考:令和2年就労条件総合調査の概況丨厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/dl/gaikyou.pdf

 

 つまり、企業規模が小さくなるにつれて取得率も低くなり、目標とする70%には遠く及ばない数値となっているのです。

 

 有給休暇の取得を推進することで、労働者のワークライフバランスが改善し、心身がリフレッシュする効果があります。

 

 リフレッシュすることによって企業にとっても労働者の生産性が高まり、長期的には業績の向上につながるメリットもあるため、有給休暇を取得しやすい環境整備のために、今回の義務化などの政策を打ち出し、取得率の向上を目指しているのです。

 

                                                            

 

海外の有給取得率

                                                            

 

 世界の大手総合旅行ブランドの一つであるエクスペディアでは毎年「有給休暇の国際比較調査」を行っています。

 

 2022年における、日本の有給休暇の取得日数、および取得率に関する調査結果は世界ワースト2位の60%となりました。

 

 上位をご紹介すると

 

1位 台湾      120%

2位 香港      111%

3位 シンガポール  93%

4位 ドイツ      90%

5位 イギリス     85%

 

となっています。

 

 国によって付与日数やルールも違うため一概には言えませんが、それでも日本の60%がかなり低いことが分かりますね。

 

                                                            

 

まとめ

                                                            

 

 また、年次有給休暇はただ取らせればよいという訳ではなく、労基法をクリアするために使用者側はどうしても制度の理解が必要になってきます。

 

 基準日の考え方や対象労働者の範囲、時季変更権など年次有給休暇には様々なルールがあるため、しっかり管理したくても難しいという方もいらっしゃると思います。

 

 しかしそんな使用者の気持ちに反して年次有給休暇管理簿の作成や保存も2019年4月に同時に義務化。

 

 もし社員に有給について聞かれて困っている、ちゃんと管理出来ている自信がない、いまいちルールがよくわからないなど、年次有給休暇についてお困りの方がいらっしゃれば、社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

 

 

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