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休職制度について

   

 

 「従業員が大きな事故にあい、しばらく仕事が出来そうにない」

 「家族の都合により長期休職を申し込まれた」

 「精神障害を患っているようで勤怠状況に波があるため、一度ゆっくり休んでほしい」

 

 多くの従業員を抱えている会社であれば、上記のような状況に一度は悩まされたことがあるのではないでしょうか。

 

 例えば、私傷病での労働不能は解雇の合理的な理由になる可能性があります。

 

 しかし、病気にかかり働けないから即解雇というのは従業員にとって少し酷な話ですよね。会社としてもゆっくり休んでもらってその後元気に復帰できるのであれば、それが一番かと思います。 

 

 そこで「休職制度」を就業規則等に定めておくことで、解雇を一定期間猶予することが可能です。

 

 現在は従業員が健康のため、心配はないという会社でも、もし何かあったときのために「休職」に対する知識は持っておく必要があるでしょう。

 

 今回は「休職」に関する基本的なルールをご紹介します。

                                                              

 

「欠勤」と「休職」の違いとは

                                                             

 

 そもそも「欠勤」と「休職」は何が違うのでしょうか?

 

どちらも本人の都合で勤務を休むという点では共通しています。

 

 しかし、「欠勤」とは、労働の義務がある日に、自分の都合で勤務に従事しない事であり、「休職」は会社のルールに沿って正しい手続きを踏んだ場合、労働の義務自体が一定期間免除されることです。

 

                                                              

 

休職中の給与はどうなる?

                                                             

 

 欠勤中の給与はノーワーク・ノーペイの原則に従い賃金控除の対象となるのが基本だと思われますが、休職中の賃金については、会社によって様々です。

 

 そのため、就業規則などに賃金の有無について明確に記述しておくことが重要になるでしょう。

 

 また、休職中でも免除されない社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)・住民税については注意が必要です。

 

 もし休職される方が社会保険に加入されていた場合、会社は従業員負担分・事業主負担分ともに保険料を納めることになるため、従業員からも自己負担分を徴収する必要があります。

 

 住民税についても、原則特別徴収によって給与から天引きされる形で会社が納付しています。社会保険と同様、免除の制度は無いため、翌年5月までは控除が発生し続けることになります。

 

 社会保険料・住民税については、復帰後にまとめて本人に請求する、毎月本人から会社へ自己負担分を振込してもらう、普通徴収に切り替える(住民税)など、その徴収方法についても明確に定めておきましょう。

 

 ※私傷病による休職期間中は「健康保険 傷病手当金」の申請が可能です。

 制度内容については以下のページをご覧ください。

 

 (全国健康保険協会/傷病手当金)

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271/

 

                                                              

 

休職期間はどれくらいに定めればよい?

                                                             

 

 休職期間をどれくらい設けるか、さらには期間満了後の延長を認めるかについても明確に定めておくことをおすすめします。

 

 これらを明記しておかないと、無期限で従業員は休職できることになってしまいます。

 

 中小企業では1か月~6か月程度、大企業では1年~2年で休職期間を定めている会社が多いです。

 

 なかには、休職者の勤続年数を考慮したり(例:勤続1年未満⇒1か月、勤続1年以上⇒3ヶ月)、傷病手当金の支給期間(1年6か月)にしている会社もあります。

 

 また、休職期間の延長については原則認めなくとも問題はありません。

 

 しかし、回復見込み等、休職者によりケースバイケースになってくるので、医師の判断にて回復の目途が経っている場合のみ認める等、客観的な基準を定めておくとよいでしょう。

 

                                                              

 

判例から見た休職にまつわるトラブル

                                                             

 

〇休職にすることが問題となるケース

 

クレディ・スイス事件(東京地判平24年1月23日)

この会社での休職制度は、その期間中無給になり、勤続年数にカウントされず、退職金や賞与が減額されるなどの不利益を伴っていたため、休職命令自体、会社の全くの自由裁量ではないとされた。

 

〇復職の可否が問題となるケース

 

 平仙レース事件(浦和地裁昭和40年12月16日)

 復職の要件となる「治癒」とは、「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に服したときをいう」とされ、ほぼ回復したものの従前の職務を遂行する程度には回復していない場合には、復職は労働者からの権利としては認められないとされた。

 

JR東海事件(大阪地裁平成11年10月4日)

従前の業務に復帰できる状態ではないものの、より簡易な業務には就くことができ、そのような業務での復職を希望する者に対しては、使用者は現実に配置可能な業務の有無を検討する義務がある、と判断された。

 

〇リハビリ勤務が問題となるケース

 

綜企画設計事件(東京地裁平成28年9月28日判決)

労働者がうつ病で休職し,その後リハビリ勤務となったがリハビリ勤務中に休職期間満了を理由とする解雇、しかし勤務中の休職者の勤務状態などからして、少なくとも相当の期間内に通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込まれる状況にあったとして、解雇無効。

 

                                                              

 

まとめ

                                                             

 

 いかがでしたでしょうか?

 

 近年は精神疾患による休職者が増え、またその性質上、完治の基準が難しいことが会社を悩ませる問題の一つです。

 

 休職制度があることで、長期的に心と身体の健康を回復させることが可能なため、従業員が安心して働くことができますが、会社を守るためにはそのルール作りをしっかりと行うことが必要不可欠です。

 

「万が一の時に備えて今から制度を整えておきたい」「会社の制度として周知し福利厚生をアピールしたい」とお考えの方は、ぜひ社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

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