お得な労務情報♪

精神疾患による労災認定判例④~さいたま労基署長(日研化学)事件(東京高判平19・10・11) ~

   

 

 

社会保険労務士法人Aimパートナーズです! 

3週にわたり精神疾患による労災認定についての判例をご紹介しています。

 

今回ご紹介するのは、認定要件②・認定要件③が認められず、国が勝訴となった裁判例です。

 

◆認定要件① 対象疾病に該当する精神障害を発病していること

◆認定要件② 発病前約6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

◆認定要件③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により発病したとは認められないこと

 

それでは行ってみましょう!

 

【目次】

◆さいたま労基署長(日研化学)事件(東京高判平19・10・11) 概要

◆判旨

◆まとめ

___________________________________________________

 

 

 

 

◆さいたま労基署長(日研化学)事件(東京高判平19・10・11) 概要

 

Xの元夫Aは、昭和43年に医薬品会社のB社に入社し、平成8年10月に品質管理責任者に選任された。

 

Aは平成9年夏頃から11月にかけて自宅でも業務を行うと共に、Xに対して当該作業を負担に感じる旨の発言をしていた。また、トラブル発生時の対応については、適切に対応ができず、その際、部下からかなり強い口調で批判的なことを言われたこともあった。1カ月の平均時間外労働時間は、概ね10~20時間であった。

 

 Aは、平成8年1月から平成9年3月までに株取引で約900万円の損失を被り、特に平成8年12月、平成9年2月、3月に約828万円の損失を被っていた

 

 Aは平成9年4月ないし7月にうつ病に罹患し、平成9年11月26日、自宅において自殺。

 

 Xは平成11年11月22日、Y労基署に対し遺族補償年金等の請求をしたが、Y労基署は、Aの自殺を、労働基準法施行規則35条別表1の2第9号に定める「業務に起因することの明らかな疾病」とは認められないとして不支給決定をした。

 

Xは本件訴えを提起。

 

 

◆判旨

 

〇当該業務が危険か否かの判断は、当該労働者を基準とすべきではなく、あくまでも平均的な労働者、通常の業務を支障なく遂行することのできる程度の健康状態にある者を基準とすべきである

 

〇Aのトラブル対応については、Aの業務遂行能力の低下によるものと解され、これはAの脆弱性・反応性の強さを示す事情ということができる。

 

〇工場管理のトラブル処理は平均して3、4日に1回にとどまること、専門知識を必要としていないことから、一般的に強度の心理的負荷を伴う業務とはいえない。

 

〇Aは、株取引で、平成8年1月から平成9年3月までの間に差引906万6969円の損失を受けたところ平成9年3月下旬に睡眠障害が生じ、同年4、5月には頭重感が生じているなどのうつ病の前駆症状が現れており、株取引の失敗が、Aにきわめて多くの心理的負荷を与えたものと考えられる。

 

〇Aは一定程度の時間外労働を行っていたが、その時間は長時間と評価できるほどのものではない

 

以上のとおり、本件うつ病の発症とこれに基づく本件自殺には業務起因性が認められず、本件不支給は適法である。

 

 

◆まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

今回のように私生活で強い心理的負荷がかかるような出来事があった場合、労災認定に響く可能性があります。

 

申請の際は、業務上での負荷ばかりに目を向けず、対象者の近況など総合的にみて判断することが大切です。

 

精神疾患になってしまった社員に労災を訴えられている、労災申請が認められず給付を受けられなかった、といったお悩みをお持ちの方はまずはお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお問合せください!

 

お問合せはコチラ↓

https://aimgroup-sr.com/contact/

 

 

 

 

 

 

 

 

 - 判例, 労災 , , , , , , , , , , ,