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2023年 法改正のおさらい

      2023/02/13

 さて、この記事が2022年最後のブログとなりました。今回は、2023年に向けて来年改正される労働にまつわる法律のおさらいをしていきたいと思います。この機会に改正ポイントをチェックし、準備していきましょう。

 

○中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

 4月1日施行の法改正の一つとして見落としてはならないのが、「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し」です。これは、2010年4月に月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が「50%以上」に引き上げられたことについて、中小企業への適用は猶予されてきていたところ、来年4月1日以降は中小企業に対しても適用となるものです。この法改正は、2018年に成立したいわゆる働き方改革関連法に含まれていた内容です。該当する企業では給与計算における対応はもちろんのこと、就業規則や給与規程の改定や労働条件通知書・雇用契約書の改定といった対応も必要となります。

 

○給与のデジタル払いが可能に

 「給与のデジタル払い」についても4月1日より解禁となります。キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、今回省令が改正され、銀行等への振込の以外に、一定の要件を満たした場合には、資金移動業者の口座への賃金支払(スマートフォンの決済アプリ等のアカウントに対しての給与振込)を可能とすることとされました。

 実際に導入を検討される場合は、以下のポイントを確認してください。

・「給与デジタル払い」で支払われる賃金は現金化が可能であり、ポイントなどでは支払えない。また現金化に際しては「最低でも月1回は無料で引き出す」ための手段が提供されることが前提となる

・「給与デジタル払い」で利用する決済事業者のアカウントの残高上限は「100万円」まで。これを超えて振り込まれることはない。上限を超える金額についてはアカウントに紐付けた“銀行口座”などへの待避などの対策が盛り込まれる

・資金移動業者が預かる残高は、供託や保険などを通じて100万円を上限に保護される。そのため、倒産リスクに対しても残高は補償されることになり、厚労省は“2階建て”部分を通じて事業者の審査を行なう

・「給与デジタル払い」は労働者が希望したときのみに支払い手段として選択でき、雇用者がその手段や事業者を強制することは認めない。同意なく資金移動業者のアカウントへの支払いが行なわれた場合、労働基準法違反として申告に基づき監督署で適切に対応する

 

○育児休業取得状況の公表 義務化

 また、育児介護休業法の改正により、2023年4月から従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。取得率の公表自体は、2023年4月以後に開始する事業年度から対象となりますが、「公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度」における取得率の公表が必要ですのでご注意ください。

(例:事業年度が4月1日~3月31日の企業の場合→2022年4月1日~2023年3月31日の状況を公表)

 公表対象は「常時雇用する労働者」が「1,000人を超える」事業主です。

 「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者を指すものであり、次のような者は常時雇用する労働者となります。

・ 期間の定めなく雇用されている者

・ 一定の期間を定めて雇用されている者又は日々雇用される者であってその雇用期間が反復更新されて事実上期間の定めなく雇用されている者と同等と認められる者。すなわち、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

 「1,000人を超える」とは、一時的に1,000人以下になることがあっても、常態として1,000人を超える労働者を雇用している場合を含みます。常時雇用する労働者数が1,000人以下の事業主であっても、その後、常時雇用する労働者数が1,000人を超えた場合にあっては、その時点から育児休業の取得の状況を公表する義務が課されます。

 

○協会けんぽ申請様式の変更

 また法改正ではないのですが、2023年1月より協会けんぽの申請様式が変更になります。

 協会けんぽの申請様式は、現在でも記入箇所を分かりやすくするような工夫がされていますが、今回の変更は、被保険者や事業主にとって、より分かりやすく、より記入しやすく、そして、より迅速に給付金が支払われるようにすること等を目的として実施されます。

 

 変更となる様式は全部で17種類に上りますが、主なものとしては下表のとおりです。

健康保険給付関係

・傷病手当金支給申請書

・療養費支給申請書(立替払等)

・療養費支給申請書(治療用装具)

・限度額適用認定申請書

・限度額適用・標準負担額減額認定申請書

・高額療養費支給申請書

・出産手当金支給申請書

・出産育児一時金支給申請書

・出産育児一時金内払金支払依頼書

・埋葬料(費)支給申請書

・特定疾病療養受療証交付申請書

 

任意継続関係

・任意継続被保険者資格取得申出書

・任意継続被保険者被扶養者(異動)届

・任意継続被保険者資格喪失申出書

・任意継続被保険者氏名 生年月日 性別 住所 電話番号変更(訂正)届

 

被保険者証等再交付関係

・被保険者証再交付申請書

・高齢受給者証再交付申請書

 

 切り替え時の留意点として新様式は、2022年12月28日以降に申請するものから使用するように案内されています。2022年12月28日以降も旧様式で申請することができますが、2023年1月以降に旧様式で申請する場合、新様式での申請と比べて、事務処理等に時間を要することがあるようです。特に早めの給付を希望する従業員には、様式が変更になることを伝えておくとよいでしょう。

 

 いかがでしたでしょうか?

 社会保険に関すること、被扶養者の要件、手続きの方法、傷病手当金、出産手当金及び障害年金等でお困りの方は社労士が複数在籍している札幌・東京の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

 来年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

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