セクハラ判例③~海外需要開拓支援機構事件~
2024/04/30
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
毎週にわたってセクハラ判例をご紹介しています。
今回はセクハラ被害にあった社員が「派遣社員」だった判例です。
セクハラは、加害者のみならず、会社も、使用者責任や職場環境配慮義務違反などを理由に責任が問われる可能性があります。
派遣だった場合どうなるのでしょうか?
それではいってみましょう!
【目次】
◆海外需要開拓支援機構事件(東京地判令2・3・3)概要
◆判旨
◆まとめ
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◆海外需要開拓支援機構事件(東京地判令2・3・3)概要
被告F社は労働者派遣契約に基づき被告B社へ、Xを派遣していた。
被告B社の専務取締役兼最高投資責任者である被告Cは、終業後にカラオケ店で開催した懇親会において、「当たり!!ワインディナーwith監査役(交換不可)」などと記載された紙片10枚を封筒に入れたくじ引きを、Xを含む女性従業員らに対し、同封筒から引かせた。
Xがこの行為について被告B社の社外ホットラインに通報したため、被告B社は、Xおよび関係者から事情聴取のうえ、調査結果に基づく法的助言を依頼した弁護士より本件くじ引きはセクハラに該当しないが適切さを欠いている旨、その他、セクハラ行為は目撃証言がなく存在を認定できない旨の助言を得た。被告B社は被告Cに対し厳重注意をしたうえで、Xに対し、上記調査結果と社内研修等により再発防止を図ることを説明した。
被告F社(派遣元)へは、Xが担当者と面談した際、本件くじ引きについて相談したが、被告B社による調査結果を待つことに同意し、またその後、調査結果を伝えられた後も、被告F社にとくに対応を求めることはしなかった。
しかし、Xは、被告Cに対し本件セクハラ行為等が不法行為に当たるとして、また被告B社および被告F社に対し職場環境配慮、整備義務違反を理由として、損害賠償を求める訴訟を提起した。
◆判旨
〇被告Cが本件くじ引きをさせた行為は、監査役の接待等を主たる目的として、Xの意思にかかわらず実質的に強制しようとするものであり、Xの人格権を侵害する違法行為というべきである。
〇被告B社はXが社外ホットラインに通報した後、速やかに関係者に対する事実関係の調査を実施し、弁護士の助言に基づき被告Cへ厳重注意をしたのであって、被告B社が適切な調査等をしなかったと評価するべき理由はない。
〇Xは、被告F社の担当者に対し、被告Cの行為について相談した際もその後も、何らかの具体的な措置を求めたことがなかったばかりか、相談窓口を利用することもなかったのであり、被告F社に対する職場環境配慮、整備義務違反を理由とする請求は理由がないと判断。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
本件については、食事・デート等の執拗な誘いも性的な言動に当たるところや、主催した被告Cや食事に同行する監査役の職務上の地位などを踏まえ、違法と判断されました。
本件では派遣元の職場環境配慮義務違反はないと判断されましたが、派遣元も派遣就業が適正に行われるよう必要な措置を講ずるなどの配慮を求められることから、派遣先におけるセクハラについて職場環境配慮義務違反を問われた判例もあります。
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