課税?報酬?永年勤続表彰金の取扱い
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
皆さんの会社では長期勤続をした従業員に対し、表彰制度は設けていますか?
表彰制度に関する法的なルールはないため、会社ごとに永年勤続表彰金を支給したり、特別休暇を付与したりすることが可能です。
離職防止やモチベーションアップなどのメリットがあるため、取り入れられることが多いこの制度ですが、永年勤続表彰金を支給する際は、社会保険・労働保険・所得税の取扱いに注意が必要です。
今回は永年勤続表彰金を支給する際の取扱についてご説明していきます。
【目次】
◆社会保険の取扱い
◆労働保険の取扱い
◆所得税の取扱い
◆まとめ
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◆社会保険の取扱い
社会保険では、以下のような要件を満たすような支給形態であれば、 恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しないとされています。
- ①表彰の目的
企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。
※支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
② 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
③ 支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。
永年勤続表彰金については、会社によって様々な形態で支給されるため、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があります。
名称は違えど、類似した性質をもつ表彰金を支給している場合は注意が必要です。
◆労働保険の取扱い
労働保険では、賃金、手当、賞与、その他名称を問わず、労働の対償として会社が従業員に支払うすべてのものを賃金として扱います。
賃金とするもの、賃金としないものは具体的に列挙されており、「勤続褒賞金」は、賃金としないとされています。
永年勤続表彰金とは名称が異なりますが、勤続褒賞金と同義と考えられます。
年度更新の際は、対象とならないため注意しましょう。
◆所得税の取扱い
所得税では、現金、商品券などを支給する場合には、その全額が給与として課税されます。(※現金または換金性が高いもの)
しかし記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担をする場合、以下の要件をすべて満たしていれば、給与として課税する必要はありません。
① その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。
- ② 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
- ③ 同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
永年勤続表彰金は支給目的が同じであっても、それぞれの法令で取扱いが異なります。
もし現在既に運用されている場合は、適切な運用がされているか、この機会に確認しておきましょう。
「給与計算が正しく出来ているかわからない」「新しい手当を作りたいが何に気を付ける必要があるか」など、給与計算・賃金設計についてお困りの方はお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問合せください!
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本記事の「参考リンク」
〇日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」
〇厚生労働省「令和5年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方」
〇国税庁「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき」
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