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【働き方改革】週給3日制 導入する?しない?

      2023/03/01

 現在の休日制度は、1週間に2日間休日が定められていている「週休2日制」が一般的ですが、これを1週間に3日間の休日とする休日制度が「週休3日制」

 

 働き方の多様化への対応や人材確保の為の打ち手として、大企業も注目する制度となっています。

 

 製薬大手の塩野義製薬株式会社は、2022年4月から希望すれば週に3日間休める働き方である選択的週休3日制度を開始しました。また、株式会社日立製作所やパナソニック ホールディングス株式会社なども、選択的週休3日制度の導入を検討をすでに発表しています。

 

 海外でも欧米諸国では週休3日制を導入する企業もかなり増えており、新しい就労スタイルのひとつとして現実的な選択肢になりつつあります。

 

 今回は、このように注目を集めている「週休3日制度」の導入のイメージやメリット・デメリットを解説していきます。

 

                                         

 

週休3日制が注目されている背景

                                         

 

 あらゆる業界で人材不足が深刻な問題になりつつある昨今、優秀な人材の確保・離職を防ぐひとつの施策として、ワークライフバランスを重視する流れがあります。

 

 人材不足が進展してしまうと、高齢者や子育て世代の女性、外国人といった幅広い労働者層を積極的に起用しなければ、人材を確保できなくなります。

 

 体力や家庭の事情、価値観の相違などの事由により、今まで一般的であった週5日間の勤務の枠に収まることが難しい層にも、働きやすい職場や制度が求められる傾向にあるため、週休3日制が注目され、一部の大企業でも採用されている背景となっています。

 

                                         

 

導入イメージ

                                         

 

 では具体的にどのように導入していけばよいのでしょうか?

 

 「週給3日制」には大きく分けて3つのパターンがあります。

 

 ○給与減額型

給与減額型は、労働時間を減らす一方で給与水準も下げる方式です。

 

仕組みとしてはシンプルですが、給与水準が下がることに抵抗を覚える従業員も一定数存在することから、希望者に限り週休3日制を適用するといった運用が一般的です。

 

給与は減っても、育児や介護、通院などに時間を使いたい従業員には歓迎されやすい制度ではないでしょうか。

 

 ○総労働時間維持型

総労働時間維持型とは、一週間あたりの休みを増やすかわりに、一日の労働時間を増やして、トータルの労働時間数を変えず給与水準もそのままという方式です。

 

一般的な法定の労働時間は一日8時間、一週間で40時間という形が通常です。

 

この方式による週休3日制では、わかりやすい例としては、1日10時間×週4勤務で40時間といった勤務形態となります。

 

この場合1日の所定労働時間が法定労働時間を超えることになるので、1か月単位の変形労働時間制などを導入する必要があります。

 

一日あたりの負荷は高くなりますが、メリハリの利いたワークスタイルを望む従業員や、店舗や工場などでは運用しやすく、給与水準も変わらないのでメリットがあるかと思います。

 

 ○給与維持型

給与維持型は、休みを増やして給与水準は据え置きという方式です。

 

従業員にとっては最もメリットのある週休3日制といえます。

 

給与が変わらない一方で労働時間は減るため、一日あたりの生産性を向上させないと企業活動に大きなダメージが生じるリスクもあります。

 

導入にあたっては、これまでの業務フローを洗い直して無駄を省く、ITツールを活用して省人化するといったとりくみを同時に検討する必要があります。

 

                                         

 

週休3日制を導入するメリット

                                         

 

○ワークライフバランスによる人材確保

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響をきっかけに、働き方の多様化が進む昨今、従来の週休2日制では、個々人が希望するライフスタイルの実現が難しくなるケースも見受けられることでしょう。

 

たとえば、家族の介護に専念したいが、週休2日制ではどうしても時間が限定されてしまうこともあり、就職の際の懸念事項となる、または離職にもつながることとなります。

 

週休3日制にすれば、ライフスタイルとの両立も容易となり、その結果、週休3日制を導入していることが求職活動における決め手となれば、人材の確保につながる可能性があります。

 

○メリハリの効いた働き方と生産性の向上

労働日数を減らすとはいえ、企業としての生産量をそのまま落とすわけにはいきません。

 

企業としては、少なくなった労働日数のなかで、いかに事業の維持拡大を図るか工夫を迫られることとなるでしょう。

 

先程少しご紹介したICTツールの導入や、業務の見える化などがあげられるでしょう。

 

そうすることで、「働くときはしっかり働き、休日はしっかり休む」といったメリハリのある理想的な働き方が実現できるようになります。

 

○コスト削減

週休3日制の導入により、労働日数を減らすことは職場の稼働が減り光熱水費等のコスト削減につながります。

 

また、通勤頻度も減少するため、通勤手当を実費制としている場合、従業員に支給する手当も減らすことができます。

 

                                         

 

週休3日制を導入するデメリット

                                         

 

○勤怠管理の煩雑化

週休3日制の3つの種類のうち、「給与減額型」を採用する場合、週休3日制を希望する従業員と希望しない従業員の2パターンにわかれてしまうことで、同じ職場で異なる勤怠管理が必要になるという手間が発生します。

 

また、一日の労働時間を増やして給与は減らさない「総労働時間維持型」を採用した場合、一日における法定労働時間をこえる部分は25%割増分の賃金を追加で支払う必要があります。

 

つまり、一日の労働時間10時間×週4日勤務であれば、一日につき2時間は割増賃金の対象となり、一週間で8時間の割増賃金支払い義務が発生してしまいます。

 

「一ヵ月の変形労働時間制」も同時に導入することで、この割増賃金支払いは回避することも可能ですが、変形労働時間制の運用のために手間暇をかけなければならないという煩雑さがついてまわります。

 

○顧客からの信頼を損ねる可能性がある

週休3日制を導入し、職場の稼働を週4日とした場合、取引先から見れば連絡をとりあえる日が一日減少することとなるため、顧客とのコミュニケーションの機会が減ることにつながります。

 

そのため、普段のコミュニケーションから信頼関係を築き、連絡できる日数が一日減っても問題ないような工夫を心がける必要があるでしょう。

 

                                         

 

まとめ

                                         

 

 現実的に考えると今はまだ、中小企業の皆様であればなかなか週休3日制の採用はイメージがつきにくいかもしれません。

 

 ですが、英レディング大学の19年の調査では週休3日を導入した英企業の6割超が生産性が改善したと答え、19年に週休3日を試験運用した日本マイクロソフトでは9割の従業員が週休3日を「評価」し、電力消費の削減効果なども見られたという結果が出ています。

 

 今後少子高齢化で家族の介護の時間を多く必要とする従業員も多くなることを考えると、

 人材不足という大きな課題解決のためにも、自社の現状も踏まえたうえで、週休3日制の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 いかがでしたでしょうか?

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