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【判例】配置転換の有効性④~安藤運輸事件~

   

 

社会保険労務士法人Aimパートナーズです! 

今回ご紹介する配置転換についての判例は「安藤運輸事件(令和3年1月20日 名古屋高裁)」です。

 

かなり最近の判例になりますが、職種限定合意の成立が否定(以下のような状況)

〇就業規則において業務上必要がある場合に配置転換を命じることができる旨の規定がある

〇職務や勤務地を限定していない従業員が対象である

されつつも、配置転換命令が無効となった裁判例があります。

 

それでは行ってみましょう!

 

 

 

 

 

 

【目次】

◆安藤運輸事件(令和3年1月20日 名古屋高裁) 概要

◆判旨

◆まとめ

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◆安藤運輸事件(令和3年1月20日 名古屋高裁) 概要

 

自動車運送事業等を運営する会社(=Y)に、中途採用された社員(=X)が、入社直後に配属された配送担当部門から倉庫部門へ配転命令されたことに対し、本件配転命令は無効であるとして、雇用契約上義務のないことの確認を求めた事案。

 

 

 

◆判旨

 

〇本件配転命令は、Yの就業規則に基づくものであり、Xには運行管理業務以外の職種には一切就かせないという趣旨の職種限定の合意が成立したことは雇用契約上認められない。

 

〇本件配転命令が他の不当な動機・目的をもってされたものと認めるに足る証拠はない。

 

〇人員増員の必要性及び適性のいずれの観点においてもXを配転しなければならない必要性は高いものではなかった。

 

〇Xは運行管理者の資格を取得しており、長年運送業に従事してきた経験から、採用後約3カ月で統括運行管理者に選任されていた。

⇒XがYにおいて資格を活かし、運行管理業務や配車業務に当たっていくことができるとする期待は、合理的なものであり会社はこのような期待に対して相応の配慮が求められる。

 

よって、Xは経済的・生活上の有意な不利益が生じたとはいえないものの、培ってきた能力・経験を活かすことができるという従業員のキャリア形成の期待を大きく反するものといえる。

 

以上より配転が無効となる以下のポイントのうち、

1.業務上の必要性がない場合

2.業務上の必要性があっても他の不法な動機や目的があって行われた場合

3.従業員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合

 

3.従業員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合に該当すると言えるため本件配転命令は、権利の濫用に当たり無効。

 

 

 

◆まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

従来、会社が従業員を雇用する際には、職種も勤務地も限定せずに雇用し、雇用契約書の中でも職種や勤務地を限定しないことが一般的であり、例外的な場合を除いて会社は自由な配置転換が認められていましたが、近年では今回の様な判例が増えつつあります。

 

そして2024年4月に労働条件明示のルールとして「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が義務化となりました。

改正以降は、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示がない場合、配置転換のハードルが上がることが予想されます。

 

もし社内で配置転換を考えられている方、まずはお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお問合せください!

 

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