【判例】配置転換の有効性 ~東亜ペイント事件~
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
配転とは、職務ないし勤務地が変更される場合で、長期にわたるものをいいます。
今の時代、ワークライフバランスを重視する傾向により、転勤に対して後ろ向きな労働者は増えている傾向にあるのではないでしょうか。
そこで会社側が抑えておきたいのが「配置転換の有効性」です。
基本的に、社員の配置については、会社側はかなり大きな権限を持っているといえます。
今回は会社側が権限を持つきっかけとなった判例をご紹介します。
【目次】
◆東亜ペイント事件 最高裁判所(昭和61年7月14日) 概要
◆判旨
◆まとめ
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◆東亜ペイント事件 最高裁判所(昭和61年7月14日) 概要
全国13ヶ所に営業所を置く会社に入社、営業部に配属された従業員に対し、会社が他地域への転勤を内示したところ、家庭の事情を理由として転居を伴う転勤を拒否。
会社は説得を重ねたものの、従業員が同意しないまま、転勤命令を発令しました。
それにも従わなかった従業員に対し、会社は、転勤命令を拒否したことは就業規則の懲戒事由に該当するとして、従業員を懲戒解雇。
これに対して従業員が、解雇の無効を主張して、会社を提訴しました。
◆判旨
・会社の就業規則については、転勤を命ずることができる旨の規定あり。
⇒現に会社では、営業担当者の転勤は頻繁に行っていた。
・労働契約が成立した際は、勤務地を限定する旨の合意はなかった。
⇒個別同意なしで、転勤を命じることが可能。
以上の点を前提としつつも、最高裁は次のような事情がある場合は、権利の濫用となることが示されました。
1.業務上の必要性がない場合
⇒後任として適当な別の者を転勤等、転勤命令には業務上の必要性があったと認められる。
2.業務上の必要性があっても他の不法な動機や目的があって行われた場合
⇒不当な動機や目的は認められず。
3.従業員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合
従業員の家族の状況(母親、妻及び長女(2歳)と共に居住、配転に応じると単身赴任となる)に照らすと、転勤が従業員に与える家庭生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のものである。
よって会社側の勝訴となりました。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した最高裁判決によって、配転の有効性に関する判断基準が明確になりました。
しかし、「業務上の必要性」の程度や「甘受すべき程度を著しく超える不利益」の程度等、判断基準についてはケースバイケースです。
もし社内で配置転換を考えられている方、従業員に転換命令に応じてもらえず困っている方はお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお問合せください!
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