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【判例から見る】競業避止義務とは?~REI元従業員事件~

   

社会保険労務士法人Aimパートナーズです! 

 

前回の記事でご紹介したフォセコ事件(S45.10.23奈良地裁)では、競業避止義務が認められるための合理的な理由としては、以下の3つの視点から考えるとご紹介しました。

・制限の期間、場所的範囲、制限の対象となる職種の範囲、代償の有無等

・会社の利益労働者の不利益

・社会的利害

 

上記の 3 要素は形成を繰り返し、現在では以下の項目に当てはめて「合理的な理由」について考えることが多くなっています。

① 会社に保護すべき正当な利益があること(競業を禁止する正当な目的があること)

② 従業員の在職中の地位・職務内容が義務を課すのにふさわしいこと

③ 競業禁止の対象行為が限定されていること

④ 競業禁止の期間の有無・程度

⑤ 地域の限定の有無・程度

⑥ 代償措置の有無・内容

 

 

今回は、この項目を意識しながら、かなり最近の判例「REI元従業員事件(東京地判令4・5・13)」を見ていきましょう!

 

 

 

【目次】

◆REI元従業員事件(東京地判令4・5・13)概要

◆判旨

◆まとめ

___________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

◆REI元従業員事件(東京地判令4・5・13)概要

 

システムエンジニアを企業に派遣・紹介する事業を行うX社は、令和元年5月、Yと労働契約を締結。その後約1年、A社でシステムエンジニアとして従事し、退職した。

 

退職の際に結んだ「秘密保持契約書」には以下のような内容が記載されていた。

・退職後1年間にわたり、取引に関係ある事業者・客先に関係ある事業者・競合関係にある事業者に就職すること、競合関係にある事業を自ら開業または設立することの禁止

・違反した場合には会社が被った一切の損害ならびに第三者が被った損害に対する賠償金等について、賠償すること

 

 YはX社を退職後、1年を待たずA社にて勤務。

 

 X社は、YのA社での就業は、本件競業禁止合意書に違反するものであるとして、Yに対し、損害賠償を求めた。

 

 

 

◆判旨

 

今回の判例を先ほどご紹介した項目に当てはめて考えてみると、

 

① 会社に保護すべき正当な利益があること(競業を禁止する正当な目的があること)

→X社がシステム開発、システム運営に関して、独自のノウハウを有するものとはいえず、Yがそのようなノウハウの提供を受けたと認めるに足りる証拠もない。つまりYがA社に勤務することによりX社が利益を害する恐れがあるとはいえない。

 

② 従業員の在職中の地位・職務内容が義務を課すのにふさわしいこと

→勤務年数も1年未満、地位としても使用者の業務上の秘密を知り得る立場にあったとは言えない。

 

③ 競業禁止の対象行為が限定されていること

Y社の取引先のみならず、客先の取引先と関係がある事業者まで含まれており、禁止される就業先は極めて広範なものになっている。

 

④ 競業禁止の期間の有無・程度

→退職後1年間。

 

⑤ 地域の限定の有無・程度

→地理的範囲の制限はない。

 

⑥ 代償措置の有無・内容

→特段、代替措置は講じられていない。

 

以上より、本件競業制限は、必要かつ合理的な範囲を超えているものであり、公序良俗に反し無効である。

 

 

 

◆まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

今回ご紹介した通り、競業避止義務について認められるには、まず、「①会社に保護すべき正当な利益があること」かどうか、が大きなハードルであると言えます。

 

自分の会社は独自のノウハウを有しているといえるのかわからない、どのレベルまで制限することができるのか知りたい、と感じた事業主様は、まずはお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお問合せください!

 

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