セクハラ判例②~クレディ・スイス証券事件~
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
前回の海遊館事件では、会社がセクハラ加害者に対して行った処分(出勤停止処分及び降格処分)が適切と判断されましたね。
この判例により「身体的接触のない言葉によるセクハラも、出勤停止処分を行うことが,会社の裁量の範囲として認められ得る」とされました。
セクハラに当たるとされる「性的な言動」には幅があるため、会社としても処分の程度は迷うところでしょう。
今回は会社が行った処分に対し、「重すぎる」とされた判例をご紹介します。
【目次】
◆クレディ・スイス証券事件(東京地判平28・7・19) 概要
◆判旨
◆まとめ
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◆クレディ・スイス証券事件(東京地判平28・7・19) 概要
Y社の従業員Xが、平成27年4月15日にセクハラや競業行為などを理由に諭旨退職の通知を受けたところ拒否。
同年5月27日付けで懲戒解雇されたことについて、本件懲戒解雇は無効であると主張して、Y社に対し、地位確認や賃金の支払いなどを求めた事案。
◆判旨
〇Xのセクハラ行為、改ざんした電子メール記録の提出等はそれぞれ懲戒事由に該当し、その内容からして、Xは相応の懲戒処分を受けて然るべきであると考えられる。
〇セクハラ行為については2年間セクハラ被害の申告はなく、この間「親しげ」だったとして嫌悪感や精神的苦痛は割り引くのが相当とする等、いずれの行為についても懲戒処分を検討するに当たって考慮すべき事情あり。
〇従前注意、指導といった機会もなく、これらの行為全てを総合考慮しても、懲戒処分における極刑といわれる懲戒解雇と、その前提である諭旨退職という極めて重い処分が社会通念上相当であると認めるには足りない。
〇被告会社の就業規則に定められた懲戒としては、訓告、けん責、減給、出勤停止、降職、諭旨退職、懲戒解雇の7種類があり、懲戒解雇および諭旨退職(諭旨解雇)のように企業から排除する懲戒処分と、降格等の企業から排除しない懲戒処分では質的に大きく異なるとした。
→本件懲戒解雇は社会通念上相当であると認められず、解雇権を濫用したものとして無効。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
懲戒処分の有効性については個別具体的ケースに基づいて判断していく必要があります。
特にセクハラについては近年で判例が増加している傾向にあるため、最新の判例なども鑑みながら有効ラインを適切に判断しなければなりません。
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