熱中症による安全配慮義務違反と労災
2023/08/28
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
毎日かなり暑い日が続いていますね。現場等、屋外で働かれている方、体調が悪くなっていませんか?
先日も北海道の小学生が熱中症によって亡くなったという悲しいニュースがありました。猛暑のなかお仕事をしている会社についてはまったく他人ごとではありません。
今回は、会社として熱中症に対しどのように対応していくべきなのかご紹介しますので、しっかりと抑えておきましょう。
【目次】
◆熱中症と安全配慮義務
◆熱中症と労災
◆従業員が熱中症になったら?
◆まとめ
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◆熱中症と安全配慮義務
まず、会社には労働契約法第5条にて安全配慮義務が定められています。
安全配慮義務についてはコチラ↓
安全配慮義務を果たすには主に以下の3点を満たす必要があります。
- 職場環境の管理の徹底
- 従業員の労働実態の把握
- 健康診断や産業医面談の実施
「熱中症」に対する安全配慮に焦点を当てると、達成するべきなのは「職場環境の管理の徹底」です。
熱中症はちょっとしたコミュニケーションや注意喚起を実施するだけで、従業員に意識改革させることが可能です。
会社としてできる安全配慮対策を以下にまとめました。
・温度や湿度の設定を適切に行い、過度に暑さを我慢させない。
・朝礼にて従業員に水分・塩分補給を促すアナウンスをする。
・こまめな休憩
・健康診断結果に基づく人員配置(熱中症にかかりやすい病状がある場合は配置しない)
・従事中の健康状態の確認(前日に睡眠不足や飲みすぎはないかなど)
・作業場所の暑さ指数(WBGT)を把握する
・暑さに応じて作業の中止や休憩ができるような、余裕を持った作業計画を策定する
・冷房等を備えた涼しい休憩場所、作業場所の近くに氷やシャワー等の設置を検討する
・通気性のよい作業着など服装の検討をする
◆熱中症と労災
労働基準法の省令である労働基準法施行規則の別表に「暑熱な場所における業務による熱中症」と記されており、業務中に起こった熱中症は、基本的に労災の対象となります。
具体的には、熱中症を発症したと認められること(医学的診断要件)と、発症が業務に起因すること(一般的認定要件)が認められた場合に、労災による疾病と認定されます。
【医学的診断要件】
・作業条件温度・湿度条件等の把握
・一般的病状の視診、および体温の測定
・作業中に発生した頭蓋骨内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断
【一般的認定要件】
・業務上の突発的またはその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在する
・当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められる
・業務に起因しない他の原因により発病(または悪化)したものでない
労災を受けるためにも熱中症を甘く見ずに、体調不良を訴えた従業員については速やかに病院を受診させましょう。
また、労災として認定されないケースとして業務災害と疾病の因果関係が薄い場合が挙げられます。前日の飲酒や寝不足、持病によって発症した熱中症など、他の原因が疑われる場合は業務中に発生した熱中症であっても認定されない可能性があるので注意しましょう。
◆従業員が熱中症になったら?
今一度、熱中症に対する応急処置を確認しておきましょう。
勤務中に従業員に熱中症の疑いがあるときは、すぐに涼しいところで休ませて、衣服を緩めるなどして風通しを良くし、身体を冷やして水分補給をさせます。
ただし、自力で涼しいところに退避できないほど容態が悪化しているときは、できるだけ早く医療機関に受診させましょう。
また、呼びかけに反応しないといった場合は、躊躇せず、すぐに救急車を呼びましょう。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
水分補給など一般的な対策についてはすでに行っていたとしても、ここ最近の猛暑では熱中症が避けられないようなケースもあるかと思います。
厚生労働省より業種別の熱中症対策事例が紹介されているので、それぞれの会社にあった方法を見つけ、夏を乗り切っていきましょう!
熱中症になった従業員に対する労災申請、会社の安全配慮対策に不安がある等、現在の労務手続き、労務管理についてお困りの方はお気軽に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問合せください!
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