脳・心臓疾患による労災認定
2024/06/07
社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
前回までは「精神疾患による労災認定」についての認定基準や判例をご紹介してきました。
今回からは「脳・心臓疾患による労災認定」について解説していきます!
精神疾患同様、脳・心臓疾患もプライベートな出来事や既往症などの原因が密接に関係している場合があるため、業務起因性を判断するにはかなり複雑です。
まずは今回、認定基準について学んでいきましょう!
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【目次】
◆脳・心臓疾患による労災認定の対象疾病とは?
◆認定要件1 長期間の過重業務
◆認定要件2 短期間の過重業務
◆認定要件3 異常な出来事
◆まとめ
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◆脳・心臓疾患による労災認定の対象疾病とは?
脳・心臓疾患は、その発症の基礎となる血管病変などが、加齢、食生活、生活環境などの日常生活や遺伝子等のさまざまな要因より徐々に増悪して発症すると考えられています。
しかし、長時間労働や業務にかかわる過重なストレスなどが原因で血管病変などが著しく悪化し発症することもあります。
以下がその対象疾病です。
脳血管疾患
→ 脳内出血(脳出血) くも膜下出血 脳梗塞 高血圧性脳症
虚血性心疾患等
→ 心筋梗塞 狭心症 心停止 (心臓性突然死を含む。) 重篤な心不全 大動脈解離
これらの疾病を発症し、業務と発症との間に有力な関連性があると判断されると、労災として認定されます。
◆認定要件1「長期間の過重業務」
→発症前おおむね6か月間の中で、著しい疲労の蓄積をもたらす日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務に就労したこと
【過重業務の具体的評価】
〇発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合
〇上記の時間に至らなかった場合も、近い時間外労働を行った場合には、「労働時
間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと認められる場合
「労働時間以外の負荷要因」に関する具体例については以下参照
(厚生労働省/脳・心臓疾患の労災認定)
https://www.mhlw.go.jp/content/001004366.pdf
◆認定要件2 短期間の過重業務
→発症前おおむね1週間において、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同種労働者にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められる業務に就労したこと
【過重業務の具体的評価】
① 発症直前から前日までの間の業務が過度の長時間労働等、特に過重である場合
➁ 発症直前から前日までの間の業務が特に過重であると認められない場合であっても、発症前おおむね1週間以内に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過重な業務が継続している場合
※労働時間の長さのみで過重負荷の有無を判断できない場合には、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮して判断
◆認定要件3 異常な出来事
→発症直前から前日までのあいだにおいて、発生状態を時間的および場所的に明確にしうる異常なできごとに遭遇したこと
〇精神的負荷…極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態
【具体例】
① 業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合
② 事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合
③ 生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合
〇身体的負荷…急激で著しい身体的負荷を強いられる事態
【具体例】
著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、走行等を
行った場合
〇作業環境の変化…急激で著しい作業環境の変化
【具体例】
著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業、温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。
認定基準が設けられているとはいえ、なかなか文字だけでは想像しづらい部分もあると思います。
個人的には、前述でもご紹介した厚生労働省のリーフレットのフローチャートに当てはめて考えるとわかりやすいのではないかと思います。
https://www.mhlw.go.jp/content/001004366.pdf
次回からは実際の事例を紹介していきますので、具体的に認定基準をイメージできるようになっておきたい方には必見です!
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